
『走れメロス』や『人間失格』など数多くの傑作を残した太宰治ですが、そんな彼は入水自殺で亡くなりました。
太宰治は妻にあてて遺書を残していました。
いわく、「美知様 誰よりもお前を愛していました」「あなたを嫌いになったから死ぬのでは無いのです。小説を書くのが嫌になったからです」。
小説を書くのが嫌ならば書かなければいいのに、と私なんかは安直に思ってしまうのですけれど、太宰治にとっては小説を書くことと生きることが同義だったのかもしれません。
また、遺書には「みんな、いやしい欲張りばかり」とも書かれていました。
太宰治を惜しむ気持ちは、あるいは「いやしい欲張り」なのでしょうか。どうでしょうね。
あらゆる作品がただのコンテンツとして消費されうる現代で、太宰治のような人が小説を書くのは大変なことなのかもしれない、と愚考してしまいます。