
(相続の開始後に認知された者の価額の支払請求権)
第九百十条 相続の開始後認知によって相続人となった者が遺産の分割を請求しようとする場合において、他の共同相続人が既にその分割その他の処分をしたときは、価額のみによる支払の請求権を有する。
相続開始後に、死後認知の訴えや遺言認知によって、相続人が増えることがあります。
そして、新たに増えた相続人が遺産の分割請求をしようと思ったら、すでに分割が終わっていた、ということもあります。
遺産分割協議は、すべての相続人の同意が必要ですから、一部の相続人を除外した分割は無効ですが、上記の場合にまで分割をやり直させるのは取引の安全性を害してしまうので、価額のみによる支払が請求できるにとどまったという趣旨です
ちなみに、死後認知などによって新たな相続人が出てきたことにより、直系尊属や兄弟姉妹のような相続人ではなくなってしまう人が出てきた場合は、相続回復請求権の問題となるようです。
相続人ではなかったものが、遺産を相続するというのもおかしな話ですから、やむを得ません。